7.19.2013

10シリーズ/Session 5

Session 5です。このセッションは、8以降の統合のセッションを除けば、身体の前面に働きかける最後のセッションとなります。身体の前面、特にお腹周りを重点的に横隔膜や腸腰筋などを目覚めさせることが、このセッションのテーマです。



前回は、内股から間接的に腸腰筋に働きかけたのですが、このSession 5は、腹部から腸腰筋に働きかけます。腸腰筋とは、大腰筋・小腰筋・腸骨筋を合わせて呼ぶ筋肉のことですが、このうち大腰筋は第12胸椎と全ての腰椎に付着するとても大きな筋肉。ところが、とても大きいにも関わらず、この筋肉を意識することは殆どありません。Session 5では、この殆ど意識することのない大腰筋の感覚を目覚めさせます。このセッション、かなりパワフル! 通常のマッサージ等ではまず弛めることが出来ない部分なので、セッションを終えられたクライアントの皆さんは、その感覚の違いに驚く方が殆ど。なんか、脚長く感じちゃいます(笑)。

脚というのは、構造的に見れば骨盤(寛骨)に大腿骨が嵌まって、そこから始まっていますが、機能的に見れば、特に脚の膝を前に出す動きというのは、腸腰筋が収縮することによって生まれます。ということで、「歩行の感覚」に関してセッションの前後で比較をすると、大腰筋が胸椎の12番から始まっているからか、骨盤からではなく、みぞおちの下というか肋骨弓の下辺り、腰椎の前面というか骨盤より高い位置、その辺りから脚が伸びて歩いているような感覚に変わります。この感覚は文字や言葉で伝えるのはとても難しいので、ロルフィング®を受けられた方だけのお楽しみということで(笑)。かなり「歩き」の質が変わることは間違いない!

また、このセッションは、慢性的な腰痛に悩んでいる方には、きっと良い方向にシフトするキッカケになると思います。腰椎に付着している大腰筋の筋膜に働きかけるということで、その部分の筋膜が潤い筋肉が柔軟性を取り戻せば、自ずと腰椎のカーブやスペースが本来の状態に戻る可能性が高いと思います。従って、整形外科や接骨院でおこなわれている、例えば「牽引」等のリハビリをするよりも、腰の状態に正しく自然な変化を持たせるためには、ロルフィング®をする方が、はるかに理にかなっていると思います。私自身、歩くことも出来ない重度の腰椎椎間板ヘルニアだったのですが、ロルフィング®をしていなかったら、今頃、一体どうなっていたことか…? ロルファーにもなってない(笑)。こんなことを書くと、代替療法に懐疑的な方や医療関係者の方は、「個人の主観や体験だけではなく、それに対する明確なエビデンスを示せ!」と、お叱りの言葉を述べる方もおられると思います。まぁそういった方々の多くは、一般的な西洋医学の処置の方が正しいと思っている方だと思うので、医師の指示に従って延々と病院等のリハビリに通い続けるか、手術でも何でもすれば良いと思いま〜す。余計おかしくなっても知〜らない(笑)。

ところで、このセッションで扱う腹部ですが、日本では古来から「腹」という漢字を使った言葉が沢山ありますし、気功の世界ではお腹辺り臍下三寸のことを「丹田」と呼んでみたり、何気に腹部というのは重要な部分なのではと思ってみたりするわけで…。そういった意味でも、感覚的に鈍ってしまっている腹部の筋膜を目覚めさせ、腹腔のスペースに広がりとバランスを持たせることは、とても良いことだと思うのですよね〜。

それから、Session 4とSession 5は身体の中心にある一番大きな筋肉(大腰筋)の筋膜に働きかけるセッションなので、出来れば間隔を詰めて行い、なるべく早く繋がりを持たせて活性化させた方が良いとされています。正統なレシピのモデルインターバルでも中2日なので、例えば 4と5の間が1ヶ月も開いてしまうのは、ちょっとどうかな?と思ってしまいます。それでも「OK」というインストラクターもいましたが、私が一番信頼しているロルフ博士の直弟子エメットからはそう聞いてないし、私的にも、そこまで間隔を空けてしまうのは「NO」だなと思います。

ちなみに、10回のセッションの折り返し地点はSession 4。そして、それに繋がるSession 5はパフォーマンスの発揮という局面においては、一番低いと言われている部分。これまで、このセッションを終えた直後にレースに行った後輩の競輪選手達は皆、「身体軽くて調子良いんだけど、なんか腰砕けで力伝わらないんですよ〜」という意見を漏らすことが殆どでした。なので、その方策として、特にアスリートやダンサー等の人達は早くこのセッションを終えて残りのセッションに進み、出来るだけ早く全身のバランスを整えると良いかもですね。


【関連する筋肉など 】
腹直筋・内腹斜筋・外腹斜筋
横隔膜
腰方形筋を含む背部周辺の一部
大腿四頭筋、ハムストリングス等の脚部
大腰筋・腸骨筋