7.26.2013

10シリーズ/Session 6

Session 6です。4つある深層筋膜へのセッションの後半に入ります。

深層筋膜への4つのセッション、前半は大腰筋などの身体の最も深い部分へ働きかけコアを整えてきたのですが、後半の6からは筋膜を介して脊柱の動きを引き出し、さらに自立神経系にも働きかけます。このセッションは背中全体、そして仙骨をメインに働きかけていきます。セッションのテーマは「しなやかな背中、仙骨を自由に!」といった感じですね。

ここで扱う仙骨は、英語だと「Sacrum(セイクラム)」と呼びます。英語の解剖学用語はラテン語由来が多いのですが、これは「聖なる骨」という意味。仙骨は骨盤の一部でもあり脊椎の一部でもある非常に重要な構造の骨なので、そういう重要な意味を持たせた骨の名前が付いたのでしょうね。それに比べて日本語の解剖学用語ときたら…。当て字っぽくて意味無し夫クンですね(苦笑)。

ところで創始者のロルフ博士は、ロルフィング®を体系立てるにあたりオステオパシーとヨガを最も熱心に研究していたそう。ヨガに関してはアメリカに初めてヨガを持ち込んだ人物から直接手解きを受けていたそうで、相当の筋金入りだったらしいです。そして、最もヨガのエッセンスが盛り込まれているのが、このSession 6と次に続くSession 7なのです!

ということで、ヨガといえばチャクラ! 古代からヨギ達は、人間の身体は意識エネルギーと宇宙からのエネルギーによって維持されると信じていたそうで、このエネルギーを身体の中にインプットしたりアウトプットしたりする調整の役目をするのがチャクラだそうです。チャクラはスシュムナー管という背骨の管に沿って全部で7つ有るそうで(間違っていたらごめんなさい)、その一番下の第一チャクラは、丁度このSession 6で扱う仙骨の位置に有るそうです。仙骨は『否定的なエネルギーが溜まりやすい場所』とも云われ、この部分の解放は精神的な深いリラックスをもたらすそうです。

ちなみに、この仙骨から尾骨までは、解剖学的に見ると「不対神経節」という副交感神経の下の末端が有るところ。チャクラの位置とも合致するユニーク且つ重要な部分なのです。 そしてチャクラは、頭頂よりも下の方がエネルギーが大きいということで、Session 6で先ず仙骨(第1チャクラ)から働きかけるのです。しかしロルフ博士、筋膜とヨガを絡めるなんてホント憎い演出。我々凡人とは、やはり目の付け所が違いますね!

ところで余談ですが、私は戦後日本におけるヨガの草分け的指導者、『沖 正弘』先生が興した伊豆下田の「沖ヨガ」の道場に、20代の頃2度ほど骨折のリハビリをかねて修行に行ったことが有るのですよ。なので、ロルフ博士がヨガをとても熱心に研究していたと知ったときは、なんだか少し嬉しかったですね〜。それから、ロルフィング®のことを発祥の地アメリカでは、「筋膜に働きかけるヨガ」と言ったり、Session 6とSession 7は「チャクラ開きのセッション」と言ったりするそうです。





【関連する筋肉など 】
仙骨とその周辺の靭帯群
脊柱起立筋群
脚部・足部周辺
外旋筋群

7.19.2013

10シリーズ/Session 5

Session 5です。このセッションは、8以降の統合のセッションを除けば、身体の前面に働きかける最後のセッションとなります。身体の前面、特にお腹周りを重点的に横隔膜や腸腰筋などを目覚めさせることが、このセッションのテーマです。



前回は、内股から間接的に腸腰筋に働きかけたのですが、このSession 5は、腹部から腸腰筋に働きかけます。腸腰筋とは、大腰筋・小腰筋・腸骨筋を合わせて呼ぶ筋肉のことですが、このうち大腰筋は第12胸椎と全ての腰椎に付着するとても大きな筋肉。ところが、とても大きいにも関わらず、この筋肉を意識することは殆どありません。Session 5では、この殆ど意識することのない大腰筋の感覚を目覚めさせます。このセッション、かなりパワフル! 通常のマッサージ等ではまず弛めることが出来ない部分なので、セッションを終えられたクライアントの皆さんは、その感覚の違いに驚く方が殆ど。なんか、脚長く感じちゃいます(笑)。

脚というのは、構造的に見れば骨盤(寛骨)に大腿骨が嵌まって、そこから始まっていますが、機能的に見れば、特に脚の膝を前に出す動きというのは、腸腰筋が収縮することによって生まれます。ということで、「歩行の感覚」に関してセッションの前後で比較をすると、大腰筋が胸椎の12番から始まっているからか、骨盤からではなく、みぞおちの下というか肋骨弓の下辺り、腰椎の前面というか骨盤より高い位置、その辺りから脚が伸びて歩いているような感覚に変わります。この感覚は文字や言葉で伝えるのはとても難しいので、ロルフィング®を受けられた方だけのお楽しみということで(笑)。かなり「歩き」の質が変わることは間違いない!

また、このセッションは、慢性的な腰痛に悩んでいる方には、きっと良い方向にシフトするキッカケになると思います。腰椎に付着している大腰筋の筋膜に働きかけるということで、その部分の筋膜が潤い筋肉が柔軟性を取り戻せば、自ずと腰椎のカーブやスペースが本来の状態に戻る可能性が高いと思います。従って、整形外科や接骨院でおこなわれている、例えば「牽引」等のリハビリをするよりも、腰の状態に正しく自然な変化を持たせるためには、ロルフィング®をする方が、はるかに理にかなっていると思います。私自身、歩くことも出来ない重度の腰椎椎間板ヘルニアだったのですが、ロルフィング®をしていなかったら、今頃、一体どうなっていたことか…? ロルファーにもなってない(笑)。こんなことを書くと、代替療法に懐疑的な方や医療関係者の方は、「個人の主観や体験だけではなく、それに対する明確なエビデンスを示せ!」と、お叱りの言葉を述べる方もおられると思います。まぁそういった方々の多くは、一般的な西洋医学の処置の方が正しいと思っている方だと思うので、医師の指示に従って延々と病院等のリハビリに通い続けるか、手術でも何でもすれば良いと思いま〜す。余計おかしくなっても知〜らない(笑)。

ところで、このセッションで扱う腹部ですが、日本では古来から「腹」という漢字を使った言葉が沢山ありますし、気功の世界ではお腹辺り臍下三寸のことを「丹田」と呼んでみたり、何気に腹部というのは重要な部分なのではと思ってみたりするわけで…。そういった意味でも、感覚的に鈍ってしまっている腹部の筋膜を目覚めさせ、腹腔のスペースに広がりとバランスを持たせることは、とても良いことだと思うのですよね〜。

それから、Session 4とSession 5は身体の中心にある一番大きな筋肉(大腰筋)の筋膜に働きかけるセッションなので、出来れば間隔を詰めて行い、なるべく早く繋がりを持たせて活性化させた方が良いとされています。正統なレシピのモデルインターバルでも中2日なので、例えば 4と5の間が1ヶ月も開いてしまうのは、ちょっとどうかな?と思ってしまいます。それでも「OK」というインストラクターもいましたが、私が一番信頼しているロルフ博士の直弟子エメットからはそう聞いてないし、私的にも、そこまで間隔を空けてしまうのは「NO」だなと思います。

ちなみに、10回のセッションの折り返し地点はSession 4。そして、それに繋がるSession 5はパフォーマンスの発揮という局面においては、一番低いと言われている部分。これまで、このセッションを終えた直後にレースに行った後輩の競輪選手達は皆、「身体軽くて調子良いんだけど、なんか腰砕けで力伝わらないんですよ〜」という意見を漏らすことが殆どでした。なので、その方策として、特にアスリートやダンサー等の人達は早くこのセッションを終えて残りのセッションに進み、出来るだけ早く全身のバランスを整えると良いかもですね。


【関連する筋肉など 】
腹直筋・内腹斜筋・外腹斜筋
横隔膜
腰方形筋を含む背部周辺の一部
大腿四頭筋、ハムストリングス等の脚部
大腰筋・腸骨筋

7.14.2013

10シリーズ/Session 4

お待たせいたしました、Session 4 です!

Session 4からSession 7まで続く深層筋膜への働きかけ。そのオープニングを地味〜に飾るセッションです。ここからは深部(コア)組織への働きかけということで、表層とはまた一味違ったセンセーションが起こるかも…。結構、精神的にも色々な葛藤が起こり得るパートなので、何とか乗り越えて頂きたいと思うのが、この深層筋膜へのセッションですね。今回のテーマは、背骨を人間の柱と見做せば、「内なる柱(内腿〜骨盤底〜脊柱)をしっかり通す」といったところでしょうか。

このSession 4は、骨盤底・骨盤内を解放・調整していくことが目的です。消化・排泄・生殖機能への影響も大きく、女性にとってはとても大切なセッションになるかも。また、O脚気味の方にも良いかもですね。歩く時に母指球でしっかり蹴って歩ける感覚が薄い方は足裏の感覚がまた少し変化すると思うので、そういった部分も見逃せないところです。


そして、もう一つ、下半身から身体の中心軸(ミッドライン)を確立していきます。そのための方策として、内転筋群や、腰椎に付着する一番大きなインナーマッスルである大腰筋停止部などの筋膜に、間接的に働きかけます。この部分が弛むと、男性の場合、両脚の付け根から「裏スジ」を通って腰まで、なんとな〜く下半身からの中心感覚が得られるでしょう(笑)。


上の画像は、鵞足(Pes Anserinus)。内転筋群である、縫工筋・薄筋・半腱膜様筋の頸骨粗面内側縁付着部。ロルファー志望の方、ここ絶対テストに出ます。覚えておいた方が良いですよ〜!ベリーインポータントです(笑)。


【関連する筋肉など 】
内転筋群(内腿周辺)
骨盤底筋群
ディープローテーター:内・外閉鎖筋など

7.04.2013

10シリーズ/Session 3

浅層筋膜への最後の働きかけ、Session 3です。このセッションのテーマは「身体の鎖を外す」っていうイメージですね。

皆さん鏡を見れば、やはり気になるのはお顔や身体の前面。次に背中や身体の側面といった感じだと思いますが、特に側面に関しては、殆どの方があまり意識を向けたことが無いと思います。もし有るとすれば…、それはただ単に「太った、痩せた」と言って脇腹のお肉をつまむといった程度じゃないでしょうか(笑)?

このセッションでは、身体の側面を整えることで3次元的に前後のバランスをとり垂直に立てるようにすること、そして、身体に広がりを持たせるための準備をします。また、次のSession 4から始まる深層筋膜の働きかけへの準備として、とても大切なセッションになります。

では、今回も超簡単に説明させて頂きます。m(_ _)m

人間の身体は平面ではなく立体的です。なので、これまでのセッションで身体の前面と後面を整えただけでは、当然不充分ということですね。そこで、このセッションの出番となる訳ですが、流石、ロルフィンは良く考えられてますね〜と、この時点で早感心(笑)。ということでSession 3では、身体の側面を前後に分け、身体の前面と後面の長さに釣り合うように体側に働きかけます。
実際のセッションでは、クライアントに横向になって頂き、ロルファーがクライアントの身体側面に予測立てた架空の正中線めがけ、浅層の筋膜を前後にバランス良く振り分けるようにワークしていきます。それにより、立体的な身体の幅であったり、奥行きや深さといったことを感じて頂きながら、身体の前後に対して秩序を欠いていた側面の筋膜を整え、可能な限りニュートラルな状態で垂直に立てるように導いていきます。働きかけるエリアは体側の首から膝辺りまで。これで、浅層筋膜のセッションは全て終了です!

ここまでのセッションを終えると、特に猫背など姿勢の悪い方はその変化に驚くことに!酷い肩こりの方もかなり楽になると思います。そして、脊椎が自然なカーブを少し取り戻した感じになるでしょう。また、筋トレなどをして筋量の有る方は、身体に広がりが出来るので更にデカく見えるでしょうね。何故そうなるのか?
簡単に説明すると、人間の姿勢を掌る影響が大きいのは浅層の筋膜が及ぼす影響が大きいので、それらが弛んで整えば、身体構造に良い影響を与えるのは当然のことなのです。また、そのことが、このセッションのテーマでもある「身体の鎖を外す」ということの意味にも繋がる訳ですね。要するに、筋膜の緊張によって「縮んでいたり締め付けられていたりしたものを解く」といった感じで。

最後に、ロルフィングのセッションは必ずしも10回全てを強制するものでは有りません。途中でブレイクすることも止めることも出来ます。そして、その最初のタイミングというのが、このSession 3が終わった時点ということになります。ですので、かかる費用や日程の都合などで10回のセッションを全て受けることを迷われている方は、先ずはここまで受けられてから、後のセッションについてお考えになられては如何でしょうか?

では、また次回。


【関連する筋肉など】
腹部周辺:腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋・横隔膜
脚・臀部周辺:大臀筋・中臀筋・小臀筋・大腿二頭筋・大腿四頭筋・大腿筋膜張筋
背部・腰部周辺:僧帽筋・腰方形筋
胸部周辺:大胸筋・小胸筋
頸部周辺:斜角筋・胸鎖乳突筋
肩関節帯:三角筋・菱形筋・鎖骨下筋・大円筋・小円筋・棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・烏口腕筋など