6.27.2013

10シリーズ/Session 2

浅層筋膜への2回目、Session 2です。このセッションのテーマは「土台作り」。

足(脚)は、身体を支える基礎として人間が成長するための変化を受け入れるために、とても重要な役割を担います。学校では、「人間というのは、立つため歩くために生まれてきた動物」とよく聞かされました。人間の存在というのは足によって支えられているということなんですね。

このSession 2ではバランス良く足(脚)が体重を支えられるように、地面からのサポートが上手く上体に伝わるように、前半は主に下腿部の筋膜をメインに働きかけます。そして後半は、後の深層筋膜のセッションに移行した際に骨盤が水平になるように、起立筋群にバックワーク(背中への働きかけ)をおこないます。このセッション、土台作りということで足(脚)だけに注意が払われがちですが、じつは終盤のバックワークがとても重要。下腿だけだと1時間足らずで終わるということもあり、浅層筋膜へのセッションの中では一番背中に時間を割くことができます。勿論、SEIICHI NAKAMURA ROLFING®もこのバックワークは重要と考え、かなり入念におこなっています。
師匠エメットは、「このセッションできちんと背中の長さを作らないと、深層筋膜のセッションに移ってから骨盤が水平になっていかないぞ」と申しておりました。

ちなみに次のSession 3、正統なスタイルではバックワークをおこなわないので、実質、浅層のセッションではこれが最後ということ。なので、もし自分がセッションを受けるなら、このセッションでしっかりとしたバックワークが出来るロルファーから受けたいですね。バックワークが上手なロルファー、ポイント高いです(笑)。


【関連する筋肉など 】
脚部:腓腹筋・ヒラメ筋・前頸骨筋・後頸骨筋・長趾屈筋・母趾屈筋・長趾伸筋・母趾伸筋・長腓骨筋・短腓骨筋・下腿骨間膜
足部:上伸筋支帯・他、足部筋肉群

6.21.2013

10シリーズ/Session 1

今回から、隔週?でロルフィング®10シリーズの説明を超簡単にしていきます。
名付けて『サルでも分かるロルフィング®!?』(笑)。尊敬する我が恩師エメットが、「ロルフィング®なんてチンパンジーでも出来るぜ!」とよく言っていたので、ちょっとパクらせて頂きました(笑)。

ということで、ロルフィング®は「基本10回の秩序立てられたセッション(施術)」で成り立っております。それには、いろいろと深い訳がありまして…。まぁ他の代替療法との違いを挙げるとすれば、唯一、重力との関係性を重視していることと、身体の一部分だけではなく、身体全体(構造と機能)をどうすればより良く出来るか?つまりは全体性ということに重きを置いているというところですかね。で、そのために、最低10回のセッションが必要となる訳です。

ロルフィング®の場合、腰が痛いからといって腰ばかり触って良しということは無いし、マッサージテーブルの上で「ハイ、脚の長さ揃いましたよ〜」なんて低レベルなことは絶対にいたしません(笑)。あまり詳しく説明すると、長く難しくなって「超簡単」という意にそぐわなくなってしまうので此処ではしません。どうしても説明が欲しい方は『SEIICHI NAKAMURA ROLFING®』にお越しください。懇切丁寧にお答えいたします! m(_ _)m


前置きが長くなってしまいました。では、オープニングの『Session 1』説明いきます!

このセッションから3回目までは、表層の筋膜に働きかけます。初回のテーマは「全身呼吸」。人間、息しないと死んじゃいますからね、ちゃんと呼吸出来るようにするのが目標です。

まず、肋骨というのは本来、前後左右に動いて肺が充分に空気の出し入れをするのを補助するのですが、この部分かなり制限が多く、背中に呼吸が入る感覚や肋骨が広がる感覚を感じられる人はあまり多くいません。このセッションでは、胸や背中の呼吸に関する筋膜に働きかけて制限を取り除き、全身で呼吸をする感覚を掴めるようにします。

このセッションは、今後のセッションの変化を受け入れる準備として、とても重要なセッションです。また「全身呼吸」という目標において出来るだけ多くの制限を除くために、胸郭だけでなく骨盤帯や脚など、かなり広いエリアの表層筋膜にも働きかけます。少し長丁場になる場合もあるので、セッションに参加される皆様には、是非とも頑張って頂きたいですね!

エメットは我々ロルファーに対して、「このセッションが出来ないヤツに、第10セッションは出来ない!」と、そう申しておりました。「ロルフィング®は表層に始まり表層に終わる」って意味なんですけどね…。とりあえず、このセッションで「掴みはOK!」とするためにも、ロルファーにとっても、気合いの入るオープニングのセッションなのです(笑)。

最後に、このセッションによる呼吸機能の改善や、今後のセッションにおける内蔵機能の活性化は、基礎代謝の向上にも関わるので、ダイエットに励む女性にも良いかもですね。ここだけの話、筋トレするよりもロルフィング®するほうが、効率的に太りにくい身体になると思いますよ〜。ロルフィング®と基礎代謝の関係については、またいつか説明させて頂きますね。


【関連する筋肉など】
頸部周辺:胸鎖乳突筋・広頸筋
胸郭周辺:大胸筋・小胸筋・鎖骨下筋・内肋間筋・外肋間筋
背部周辺:前鋸筋・広背筋・僧帽筋・大菱形筋・小菱形筋
腹部周辺:腹直筋鞘・外腹斜筋
臀部および脚部周辺:大臀筋・中臀筋・小臀筋・大腿筋膜張筋・長頸靭帯・ハムストリングス

6.15.2013

Ichiro/イチロー選手のマッサージ

イチロー選手がシーズン最多安打のMLB記録を作ったのは、2004年の10月1日。

同時期、私はロルフィング®を学ぶために、コロラド州ボールダー【Rolf Institute® of Structural Integration】に留学中でした。その記録達成の日の朝、ちょっとしたエキサイティングな出来事が…。

クラスメイトの一人が、イチロー選手の写真がデカデカと載ったニューヨークタイムズの紙面を開いて、「ちょっとコレ見てみろよ!」的なことを言っていた。
見るとそこには、こんな文章が、 “Suzuki's pre-game routine, which includes a deep tissue massage that usually lulls him into a deep sleep, could be the most important part of his preparation.”
「スズキの試合前の日課はディープティシューマッサージです。それは、彼を深い睡眠へ導いてくれるので、試合前の最も重要な準備の一つです。」と、こんな感じかな。

クラスメイト達は文章の中に「deep tissue massage 」を見つけ、「イチローは、コレ誰から受けてるんだ?」と騒いでいました。何故かというと【Rolf Institute® of Structural Integration】では、この「ディープティシューマッサージ=deep tissue massage(深部組織マッサージ)」をロルフィングのベーステクニックとして学んでいたからでした。

私は常々、イチロー選手はトレーニング以外にも『何か特別なことをやっているのかな?』と思っていたので、「deep tissue massage 」を受けていると知り、やはり、イチロー選手の抜群のバットコントロールを生むハンド・アイ・コーディネーションの素晴らしさは、全身にネットワークする「筋膜」に働きかけてるからなのか!?と少し納得。

「ディープティシューマッサージ」は、フリクション(強擦法)やロッキングなどをのテクニックを用い、とてもゆっくりしたスピードで「筋膜」に働きかけます。従って、ニーディング(揉捏法)やストローク(軽擦法)を用いて、速いスピードで筋肉に働きかける従来のマッサージとは違い知覚神経を刺激しすぎないため、「揉み返し」が殆ど無いことが大きな特徴です。なので、アメリカでは特にアスリートに人気のマッサージテクニックです。アメリカでスポーツマッサージといえばコレですよ! このテクニック、日本の『按摩マッサージ指圧師』の学校では、まだ教えられてないんですよね。遅れてる…。

ちなみに【Rolf Institute® of Structural Integration】はロルフィングスクールでありマッサージスクールではないので、「ディープティシューマッサージ」という言葉は使えず、「スキルフルタッチ」という名称で教えられています。コレ、学校に入ってきたばかりの「スキルレス」な連中が、身体に触れることに慣れるために教わるテクニックなのですが、それに「スキルフル」って、ちょっと笑えません?

ロルフィングとの大きな違いは、筋膜を弛めるけど統合(構造と機能の一体化)は目的としないというところ。従ってロルフィングの10シリーズの後に、このマッサージはすべきではないですね。やると折角作った水平性と垂直軸を狂わす可能性が有り、ロルフィングをした意味が無いかも。まぁロルフィングしたら、「ディープティシューマッサージ」や「筋膜リリース」なんて、する必要ないでしょ。ロルフィングの方が、色々な意味で優れてますから。

なぜか日本では、この「スキルフルタッチ」をメニューに加えているロルファーが多いのですが、ロルフィングをおこなう本来の目的を分かっているのなら、やはりメニューに加えるべきではないです。ロルファーはロルフィングだけをすべきです。ロルフィングの本当の凄さを知っている、本場アメリカの名うてのロルファー達がそうであるように…。

イチロー選手の新記録達成の瞬間は、クラスメイト達と遊びに行ったクラブの大型スクリーンで目撃してましたよ〜。毎日毎日、難しい勉強で大変な時期だったので、かなり勇気を貰いました。以下は、2004年の10月1日ニューヨークタイムズ朝刊電子版のコピー。最後のパラグラフのところをご覧下さい。